2026|工芸デザイン製図Ⅱ(後半)
#class
対象とする空間およびインテリア(家具)に応じて、作図のスケールは変化します。
コンセプト段階では「ボリューム」を、その後は「細部まで」を確認できるような作図を心がけましょう。
模型についても、スタイロフォームなどを切り出してボリュームを確認し、意図したとおりに配置できるかを検討してください。
また、空間の雰囲気づくりについて試行錯誤を繰り返し、その結果を図面に反映するようにしましょう。
また、居住空間の平面および容積に占める家具の割合は、相対的に増加してきています。
以下の具体例に挙げられるものを総称して「家具」としていますが、すべてを同じものとして扱ってよいのでしょうか。
家具を区分し、それぞれについて考えを深める必要があります。
戦後、日本の生活様式は急激に洋風へと転換しました。
「和洋折衷」という言葉があるように、日本の住環境や家具のあり方は、現在も混在・混乱した状態にあると考えられます。
2009年には「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されましたが、住宅の意匠や街並みとの調和に関する明確な指標は、十分に示されていません。
一般的には、「視覚的な見た目」を意味している場合が多くあります。
公共空間、建築空間、パソコンのOS、スマートフォンから利用するSNSなどにおいて、デザイナーがスタイリッシュに見せようとした結果、利用者が不便を感じたり、トラブルが生じたりする事例は少なくありません。
看板や貼り紙による注意喚起を追加しなければならない状態は、デザインによる解決が不十分だった結果とも考えられます。
D.A.ノーマンをはじめとする認知科学者の指摘を通じて、この認識は緩やかに変化してきました。
近年では、複数の感覚を意識したデザインも見られるようになっています。
後半課題では、複数の視点を確保しながら「観る」ことから始めてください。
連絡事項
- スケジュール未更新
- 特になし
対象とする空間およびインテリア(家具)に応じて、作図のスケールは変化します。
コンセプト段階では「ボリューム」を、その後は「細部まで」を確認できるような作図を心がけましょう。
模型についても、スタイロフォームなどを切り出してボリュームを確認し、意図したとおりに配置できるかを検討してください。
また、空間の雰囲気づくりについて試行錯誤を繰り返し、その結果を図面に反映するようにしましょう。
スケジュール
| 日程 | タスク | エスキス材料 |
|---|---|---|
| 12月4日 | スケッチ、展開図の作成、前半課題の見直し | 前半課題PDF、当日のスケッチ |
| 12月11日 | 対象空間の選定 インテリア(家具を含む)のコンセプトを作成 | 1)クロッキー帳とトレーシングペーパーによるアイデア出し |
| 12月18日 | コンセプトの確認 対象空間とインテリアの表現を具体化① | 2)1)に加え、A3資料 コンセプト、平面兼配置図、立面図または展開図 |
| 12月25日 | 対象空間とインテリアの表現を具体化② 簡易模型の作成 | 3)2)に加え、A3資料2〜3枚 上記資料、家具図、パース、簡易模型 |
| 1月8日 | 対象空間とインテリアの表現を具体化③ 簡易模型の作成 提出模型の作成 | 4)3)に加え、A3資料2〜3枚を提出要件レベルまで具体化 簡易模型 模型作成に必要な図面 |
| 1月15日 | 提出図書のレイアウトを検討 提出模型の確認 | 5)上記資料をブラッシュアップ |
| 1月20日 | 提出(建築棟製図室) | なし |
| 1月22日 | 講評会(建築棟製図室) | なし |
| 2月8日 | 成果発表会(須坂市) | なし |
注意1
年明けから模型制作に取り組めるよう、スケジュール管理に注意しましょう。
注意2
初期スケッチを含め、最終形態に至るまでのプロセスを、アナログ資料とデジタルデータの両方を活用して表現しましょう。
家具の分類
現代社会において、多くの人は、生活時間の約3分の1を椅子に座り、約3分の1をベッドに横たわって過ごしています。また、居住空間の平面および容積に占める家具の割合は、相対的に増加してきています。
以下の具体例に挙げられるものを総称して「家具」としていますが、すべてを同じものとして扱ってよいのでしょうか。
家具を区分し、それぞれについて考えを深める必要があります。
| 分類 | 機能の内容 | 具体的な例 | 関わり方 |
|---|---|---|---|
| 人体系家具 | 身体の支持 | 椅子、ベッド | 人間中心 |
| 準人体系家具 | 天板上での作業 | 机、テーブル、カウンター | 人間とモノの中間 |
| 建物系家具 | 収納や遮断 | 戸棚、タンス、衝立、間仕切り | モノ中心 |
「和洋折衷」という言葉があるように、日本の住環境や家具のあり方は、現在も混在・混乱した状態にあると考えられます。
日本の住宅事情
日本
- 自分で住宅を建てて住むという意識が強い
- 住宅の建設を「一生に一度」と考える傾向がある
- 売却を前提としないため、個人の要望を優先した住宅になりやすい
- 生活に合わなくなると、ローンが残っていても解体して建て替える場合がある
- 維持管理を怠りやすい
- 他者が住み継ぐことを前提とした間取りになっていない
- 中古住宅市場が成立しにくい
アメリカ
- 完成済みの住宅を購入し、住み替える意識が強い
- 将来の売却を前提として、住宅を継続的に手入れする
- インテリアを整え、住宅の価値を維持する
- 中古住宅市場が成立しており、住宅が売却可能な資産として扱われる
- 保守管理やインテリアへの関心が比較的高い
中古住宅市場
- 日本の中古住宅流通戸数:約16万戸
- アメリカの中古住宅流通戸数:約438万戸
- 日本はアメリカの約28分の1
- 人口比はおよそ1対3
住宅の平均寿命
- 日本:約26年
- アメリカ:約44年
- イギリス:約75年
2009年には「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されましたが、住宅の意匠や街並みとの調和に関する明確な指標は、十分に示されていません。
単位と寸法
尺貫法
| 単位 | 寸法 |
|---|---|
| 1寸 | 約3.03cm |
| 1尺 | 約30.3cm(10寸) |
| 1間 | 約1.818m(6尺) |
| 1畳 | 約1.65㎡(1間×0.5間) |
| 1坪 | 約3.3㎡(1間×1間) |
ヤード・ポンド法
| 単位 | 寸法 |
|---|---|
| 1インチ | 約2.54cm |
| 1フィート | 約30.5cm(12インチ)・約1尺 |
寸法の種別
参考:寸法の種別人体寸法
人体各部の寸法を指します。| 部位 | 寸法の目安 | 関係する計画 |
|---|---|---|
| 眼高 | 約150cm | 立位の視空間 |
| 肩峰高 | 約130cm | 手を前方へ伸ばした際の高さ、スイッチ類 |
| 重心高 | 約90cm | へその高さ、ドアノブ、手すり |
| 前方腕長 | 約75cm | 収納棚、キッチンなどの奥行き |
| 下腿高 | 約40cm | 椅子の座面高 |
動作寸法
人間の身体や手足の動作にともなう寸法です。物品寸法
家具や各種機器など、人工物の寸法です。世代や運動能力など、利用者の特性に応じた寸法設定が必要です。
動作空間と単位空間
動作空間
- 人間の多様な動作に必要とされる空間
- 動作に加えて、余剰やゆとりが必要
- 単独利用か複数人利用かなど、場面に応じた計画が重要
- パーソナルスペース、テリトリー、プライバシーなどを考慮する
単位空間
- 特定の行為が行われる空間
- 動作空間に基づいて寸法や構成を判断する
- 玄関、廊下、居間、寝室、便所、浴室などの移動イメージを考慮する
- 単位空間を全体平面へ配置する
- 全体平面から単位空間を見直す
- この手続きを繰り返して計画を調整する
建築計画の進め方
コーディネーション
- 建物全体および各部分の寸法を把握する
- 必要に応じて実測する
- 配布された図面を十分に確認する
- 必要とされる動作空間や単位空間を把握する
- 各自のテーマに基づいて必要な空間を整理する
- 建物全体にグリッドを設定する
- 柱や壁などの位置を決定する
- 平面計画では直交を基本とする
グルーピング
性質や機能が似ている諸室をまとめます。ゾーニング
敷地や建築物の中に、同様の性質や用途をもつゾーンを設定します。動線計画
建築空間における人やモノの動き、流れを計画します。- 異なる種類の動線は、できるだけ交錯させない
- 人間は、分かりやすく短い経路を好む
- 災害時の避難を考慮し、二方向の動線を確保する
ライフサイクルコスト
- イニシャルコスト
- ランニングコスト
- 将来的な資産価値
ファシリティマネジメント
建物や設備などの長期的な維持管理に配慮します。住宅の平面計画と配置計画の原則
主に必要とされる諸室
今回の課題を考慮した一例です。個人的生活空間
- 高齢者夫婦の寝室
- 親夫婦の寝室
- 子どもの寝室
共同的生活空間
- リビング
- ダイニング
- キッチン
- 玄関
- 廊下
- 階段
- 収納
- 客間
衛生空間
- 便所
- 浴室
- 洗面所
これらの空間を、住み手の生活条件に合わせて組み合わせ、調整してください。
組み合わせる際には、動線やプライバシーなどを意識してください。
3つの分離
食寝分離
食事の場と寝室を分けます。就寝分離
両親と子ども、または子ども同士の寝室を分けます。公私分離
個人的生活空間、共同的生活空間、衛生空間を分けます。外部空間との関係
- 隣地からのプライバシーの確保
- 諸室の採光や通風
- 駐車・駐輪スペース
- パブリックな空間とプライベートな空間の関係
- 移動や滞留によって変化する環境
デザインについて
「デザイン」と言われて、何をイメージしますか
「空間をデザインする」「これは良いデザインだ」と言うとき、何を意味しているのでしょうか。一般的には、「視覚的な見た目」を意味している場合が多くあります。
デザインが関わる感覚は視覚だけでしょうか
「デザイナーズマンション」と聞くと、「使い勝手の良さ」よりも「見た目の良さ」を期待する人が多いかもしれません。公共空間、建築空間、パソコンのOS、スマートフォンから利用するSNSなどにおいて、デザイナーがスタイリッシュに見せようとした結果、利用者が不便を感じたり、トラブルが生じたりする事例は少なくありません。
看板や貼り紙による注意喚起を追加しなければならない状態は、デザインによる解決が不十分だった結果とも考えられます。
デザインとは何か
- 新たな環境を自らつくること
- 環境を変えること
- 設計すること
- 計画すること
- 仕組みをつくること
- より良い状態をつくること
- 快適さや喜びを生み出すこと
- 自分自身のために考えること
- 他者のために考えること
- 多様な動物や植物を含む環境について考えること
「デザイン=見た目」という認識
「デザイン=見た目」という認識は、特定の分野や地域に限られたものではありません。D.A.ノーマンをはじめとする認知科学者の指摘を通じて、この認識は緩やかに変化してきました。
D.A.ノーマンの主な著作
- 『誰のためのデザイン?』
- 『エモーショナル・デザイン』
- 『複雑さと共に暮らす』
- 『未来のモノのデザイン』
国土のグランドデザイン
- 大きな目的を達成するための仕組み
- システムの構想に関する企画や設計
UX(User Experience)デザイン
見た目だけではなく、利用者の体験に焦点を当てたデザインです。近年では、複数の感覚を意識したデザインも見られるようになっています。
モノのデザインを考えるための視点
- 形状
- 機能
- 素材
- つくり方
- 製造方法
- 使い方
- 手がかり
- 持続性
- 柔軟性
- 公共性
- 地域性
- 歴史的・文化的背景
良いデザインとは
- 役に立つか
- 使いやすいか
- 好ましいか
モノをデザインする
モノをデザインする目的には、次のようなものがあります。- 個人の欲求を満たす
- 自分や地域のためにつくる
- 大量に生産する
- 効率よくつくる
- 販売し、生活を豊かにする
- モノ自体の魅力、価値、機能を高める
- 商品としての価値を高める
- 人間がモノに合わせるデザイン
- 人間中心のデザイン
- 持続可能な社会のためのデザイン
デザインの手続き
調べる
- 情報を集める
- 情報を整理する
- 情報を分析する
観る
- 複数の視点を確保する
- 気づいたことを書き留める
- 注意深く観察する
- 観察したものを描く
環境を見る
- 人通りは多いか
- 利用時間はいつか
- 周辺にどのような施設があるか
人間を見る
- 来訪者か
- 居住者か
- どのような世代か
- どのような身体特性をもつか
インタラクションを見る
- 休憩するか
- 売買するか
- 通過するか
- 滞留するか
デザインプロセス
- 課題を見つける
- 仮説を立てる
- 検証する
- 必要に応じて繰り返す
- コンセプトを作成する
- デザインする
後半課題では、複数の視点を確保しながら「観る」ことから始めてください。