編集: 2026|工芸デザイン製図Ⅱ(後半)
#class ## 連絡事項 - スケジュール未更新 - 特になし --- 対象とする空間およびインテリア(家具)に応じて、作図のスケールは変化します。 コンセプト段階では「ボリューム」を、その後は「細部まで」を確認できるような作図を心がけましょう。 模型についても、スタイロフォームなどを切り出してボリュームを確認し、意図したとおりに配置できるかを検討してください。 また、空間の雰囲気づくりについて試行錯誤を繰り返し、その結果を図面に反映するようにしましょう。 ## スケジュール | 日程 | タスク | エスキス材料 | |---|---|---| | 12月4日 | スケッチ、展開図の作成、前半課題の見直し | 前半課題PDF、当日のスケッチ | | 12月11日 | 対象空間の選定<br>インテリア(家具を含む)のコンセプトを作成 | 1)クロッキー帳とトレーシングペーパーによるアイデア出し | | 12月18日 | コンセプトの確認<br>対象空間とインテリアの表現を具体化① | 2)1)に加え、A3資料<br>コンセプト、平面兼配置図、立面図または展開図 | | 12月25日 | 対象空間とインテリアの表現を具体化②<br>簡易模型の作成 | 3)2)に加え、A3資料2〜3枚<br>上記資料、家具図、パース、簡易模型 | | 1月8日 | 対象空間とインテリアの表現を具体化③<br>簡易模型の作成<br>提出模型の作成 | 4)3)に加え、A3資料2〜3枚を提出要件レベルまで具体化<br>簡易模型<br>模型作成に必要な図面 | | 1月15日 | 提出図書のレイアウトを検討<br>提出模型の確認 | 5)上記資料をブラッシュアップ | | 1月20日 | 提出(建築棟製図室) | なし | | 1月22日 | 講評会(建築棟製図室) | なし | | 2月8日 | 成果発表会(須坂市) | なし | > **注意1** > 年明けから模型制作に取り組めるよう、スケジュール管理に注意しましょう。 > **注意2** > 初期スケッチを含め、最終形態に至るまでのプロセスを、アナログ資料とデジタルデータの両方を活用して表現しましょう。 --- ## 家具の分類 現代社会において、多くの人は、生活時間の約3分の1を椅子に座り、約3分の1をベッドに横たわって過ごしています。 また、居住空間の平面および容積に占める家具の割合は、相対的に増加してきています。 以下の具体例に挙げられるものを総称して「家具」としていますが、すべてを同じものとして扱ってよいのでしょうか。 家具を区分し、それぞれについて考えを深める必要があります。 | 分類 | 機能の内容 | 具体的な例 | 関わり方 | |---|---|---|---| | 人体系家具 | 身体の支持 | 椅子、ベッド | 人間中心 | | 準人体系家具 | 天板上での作業 | 机、テーブル、カウンター | 人間とモノの中間 | | 建物系家具 | 収納や遮断 | 戸棚、タンス、衝立、間仕切り | モノ中心 | 戦後、日本の生活様式は急激に洋風へと転換しました。 「和洋折衷」という言葉があるように、日本の住環境や家具のあり方は、現在も混在・混乱した状態にあると考えられます。 ## 日本の住宅事情 ### 日本 - 自分で住宅を建てて住むという意識が強い - 住宅の建設を「一生に一度」と考える傾向がある - 売却を前提としないため、個人の要望を優先した住宅になりやすい - 生活に合わなくなると、ローンが残っていても解体して建て替える場合がある - 維持管理を怠りやすい - 他者が住み継ぐことを前提とした間取りになっていない - 中古住宅市場が成立しにくい ### アメリカ - 完成済みの住宅を購入し、住み替える意識が強い - 将来の売却を前提として、住宅を継続的に手入れする - インテリアを整え、住宅の価値を維持する - 中古住宅市場が成立しており、住宅が売却可能な資産として扱われる - 保守管理やインテリアへの関心が比較的高い ### 中古住宅市場 - 日本の中古住宅流通戸数:約16万戸 - アメリカの中古住宅流通戸数:約438万戸 - 日本はアメリカの約28分の1 - 人口比はおよそ1対3 ### 住宅の平均寿命 - 日本:約26年 - アメリカ:約44年 - イギリス:約75年 日本では、自分の好みに合わせて住宅を建てる傾向が強いため、街並みに統一感が生まれにくく、景観が調和しにくい場合があります。 2009年には「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されましたが、住宅の意匠や街並みとの調和に関する明確な指標は、十分に示されていません。 --- ## 単位と寸法 ### 尺貫法 | 単位 | 寸法 | |---|---| | 1寸 | 約3.03cm | | 1尺 | 約30.3cm(10寸) | | 1間 | 約1.818m(6尺) | | 1畳 | 約1.65㎡(1間×0.5間) | | 1坪 | 約3.3㎡(1間×1間) | ### ヤード・ポンド法 | 単位 | 寸法 | |---|---| | 1インチ | 約2.54cm | | 1フィート | 約30.5cm(12インチ)・約1尺 | ### 寸法の種別 参考:[寸法の種別](https://environmental-engineering.work/archives/293) #### 人体寸法 人体各部の寸法を指します。 | 部位 | 寸法の目安 | 関係する計画 | |---|---|---| | 眼高 | 約150cm | 立位の視空間 | | 肩峰高 | 約130cm | 手を前方へ伸ばした際の高さ、スイッチ類 | | 重心高 | 約90cm | へその高さ、ドアノブ、手すり | | 前方腕長 | 約75cm | 収納棚、キッチンなどの奥行き | | 下腿高 | 約40cm | 椅子の座面高 | #### 動作寸法 人間の身体や手足の動作にともなう寸法です。 #### 物品寸法 家具や各種機器など、人工物の寸法です。 > 世代や運動能力など、利用者の特性に応じた寸法設定が必要です。 ### 動作空間と単位空間 #### 動作空間 - 人間の多様な動作に必要とされる空間 - 動作に加えて、余剰やゆとりが必要 - 単独利用か複数人利用かなど、場面に応じた計画が重要 - パーソナルスペース、テリトリー、プライバシーなどを考慮する #### 単位空間 - 特定の行為が行われる空間 - 動作空間に基づいて寸法や構成を判断する - 玄関、廊下、居間、寝室、便所、浴室などの移動イメージを考慮する - 単位空間を全体平面へ配置する - 全体平面から単位空間を見直す - この手続きを繰り返して計画を調整する --- ## 建築計画の進め方 ### コーディネーション - 建物全体および各部分の寸法を把握する - 必要に応じて実測する - 配布された図面を十分に確認する - 必要とされる動作空間や単位空間を把握する - 各自のテーマに基づいて必要な空間を整理する - 建物全体にグリッドを設定する - 柱や壁などの位置を決定する - 平面計画では直交を基本とする ### グルーピング 性質や機能が似ている諸室をまとめます。 ### ゾーニング 敷地や建築物の中に、同様の性質や用途をもつゾーンを設定します。 ### 動線計画 建築空間における人やモノの動き、流れを計画します。 - 異なる種類の動線は、できるだけ交錯させない - 人間は、分かりやすく短い経路を好む - 災害時の避難を考慮し、二方向の動線を確保する ### ライフサイクルコスト - イニシャルコスト - ランニングコスト - 将来的な資産価値 これらを総合的に考慮します。 ### ファシリティマネジメント 建物や設備などの長期的な維持管理に配慮します。 --- ## 住宅の平面計画と配置計画の原則 ### 主に必要とされる諸室 今回の課題を考慮した一例です。 #### 個人的生活空間 - 高齢者夫婦の寝室 - 親夫婦の寝室 - 子どもの寝室 #### 共同的生活空間 - リビング - ダイニング - キッチン - 玄関 - 廊下 - 階段 - 収納 - 客間 #### 衛生空間 - 便所 - 浴室 - 洗面所 > これらの空間を、住み手の生活条件に合わせて組み合わせ、調整してください。 > 組み合わせる際には、動線やプライバシーなどを意識してください。 ### 3つの分離 #### 食寝分離 食事の場と寝室を分けます。 #### 就寝分離 両親と子ども、または子ども同士の寝室を分けます。 #### 公私分離 個人的生活空間、共同的生活空間、衛生空間を分けます。 ### 外部空間との関係 - 隣地からのプライバシーの確保 - 諸室の採光や通風 - 駐車・駐輪スペース - パブリックな空間とプライベートな空間の関係 - 移動や滞留によって変化する環境 --- ## デザインについて ### 「デザイン」と言われて、何をイメージしますか 「空間をデザインする」「これは良いデザインだ」と言うとき、何を意味しているのでしょうか。 一般的には、「視覚的な見た目」を意味している場合が多くあります。 ### デザインが関わる感覚は視覚だけでしょうか 「デザイナーズマンション」と聞くと、「使い勝手の良さ」よりも「見た目の良さ」を期待する人が多いかもしれません。 公共空間、建築空間、パソコンのOS、スマートフォンから利用するSNSなどにおいて、デザイナーがスタイリッシュに見せようとした結果、利用者が不便を感じたり、トラブルが生じたりする事例は少なくありません。 看板や貼り紙による注意喚起を追加しなければならない状態は、デザインによる解決が不十分だった結果とも考えられます。 ### デザインとは何か - 新たな環境を自らつくること - 環境を変えること - 設計すること - 計画すること - 仕組みをつくること - より良い状態をつくること - 快適さや喜びを生み出すこと - 自分自身のために考えること - 他者のために考えること - 多様な動物や植物を含む環境について考えること 芸術家とデザイナーは、必ずしも同じ存在ではありません。 ### 「デザイン=見た目」という認識 「デザイン=見た目」という認識は、特定の分野や地域に限られたものではありません。 D.A.ノーマンをはじめとする認知科学者の指摘を通じて、この認識は緩やかに変化してきました。 #### D.A.ノーマンの主な著作 - 『誰のためのデザイン?』 - 『エモーショナル・デザイン』 - 『複雑さと共に暮らす』 - 『未来のモノのデザイン』 #### 国土のグランドデザイン - 大きな目的を達成するための仕組み - システムの構想に関する企画や設計 #### UX(User Experience)デザイン 見た目だけではなく、利用者の体験に焦点を当てたデザインです。 近年では、複数の感覚を意識したデザインも見られるようになっています。 ### モノのデザインを考えるための視点 - 形状 - 機能 - 素材 - つくり方 - 製造方法 - 使い方 - 手がかり - 持続性 - 柔軟性 - 公共性 - 地域性 - 歴史的・文化的背景 ### 良いデザインとは - 役に立つか - 使いやすいか - 好ましいか デザインしたモノを通じて、実世界における価値や課題に応える必要があります。 ### モノをデザインする モノをデザインする目的には、次のようなものがあります。 - 個人の欲求を満たす - 自分や地域のためにつくる - 大量に生産する - 効率よくつくる - 販売し、生活を豊かにする - モノ自体の魅力、価値、機能を高める - 商品としての価値を高める 世の中が求めるデザインは変化し続けます。 - 人間がモノに合わせるデザイン - 人間中心のデザイン - 持続可能な社会のためのデザイン こうした変化を意識しながら、自分なりのビジョンをもってデザインしてください。 ### デザインの手続き #### 調べる - 情報を集める - 情報を整理する - 情報を分析する #### 観る - 複数の視点を確保する - 気づいたことを書き留める - 注意深く観察する - 観察したものを描く #### 環境を見る - 人通りは多いか - 利用時間はいつか - 周辺にどのような施設があるか #### 人間を見る - 来訪者か - 居住者か - どのような世代か - どのような身体特性をもつか #### インタラクションを見る - 休憩するか - 売買するか - 通過するか - 滞留するか ### デザインプロセス 1. 課題を見つける 2. 仮説を立てる 3. 検証する 4. 必要に応じて繰り返す 5. コンセプトを作成する 6. デザインする 前半課題では「調べる」作業を行っています。 後半課題では、複数の視点を確保しながら「観る」ことから始めてください。 --- ## 参考図書など - [環境とデザイン](https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/425426853X/59456985-22/ref=nosim/) ISBN:9784254268539 - [インテリアの人間工学](https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866540109/59456985-22/ref=nosim/) ISBN:9784866540108 - [生まれ出づる空間への模索](https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4786901482/59456985-22/ref=nosim/) ISBN:9784786901485 - [建築学科のための環境工学](https://environmental-engineering.work/) --- ## 資料 - [TWCDesign](https://www.youtube.com/@twcdesign) YouTube - [豪雪地帯・十日町の古民家に魅せられたドイツ人建築家の10年](https://suumo.jp/journal/2024/12/13/206028/) 2024年12月13日掲載 - [木材加工・変形例](https://www.ffpri.go.jp/news/2018/20181110tsukubafes/index.html) 森林総合研究所 - [コンパクトデスクの一例](https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1661289.html) 2025年2月10日掲載 - [コンパクトデスクの参考画像](https://x.com/sauntm/status/1885659156646121790/photo/1)
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