2026|工芸デザイン製図Ⅱ(後半)

更新: 2026/08/02 14:52 #class

連絡事項

  • スケジュール未更新
  • 特になし

対象とする空間およびインテリア(家具)に応じて、作図のスケールは変化します。
コンセプト段階では「ボリューム」を、その後は「細部まで」を確認できるような作図を心がけましょう。

模型についても、スタイロフォームなどを切り出してボリュームを確認し、意図したとおりに配置できるかを検討してください。
また、空間の雰囲気づくりについて試行錯誤を繰り返し、その結果を図面に反映するようにしましょう。

スケジュール

日程 タスク エスキス材料
12月4日 スケッチ、展開図の作成、前半課題の見直し 前半課題PDF、当日のスケッチ
12月11日 対象空間の選定
インテリア(家具を含む)のコンセプトを作成
1)クロッキー帳とトレーシングペーパーによるアイデア出し
12月18日 コンセプトの確認
対象空間とインテリアの表現を具体化①
2)1)に加え、A3資料
コンセプト、平面兼配置図、立面図または展開図
12月25日 対象空間とインテリアの表現を具体化②
簡易模型の作成
3)2)に加え、A3資料2〜3枚
上記資料、家具図、パース、簡易模型
1月8日 対象空間とインテリアの表現を具体化③
簡易模型の作成
提出模型の作成
4)3)に加え、A3資料2〜3枚を提出要件レベルまで具体化
簡易模型
模型作成に必要な図面
1月15日 提出図書のレイアウトを検討
提出模型の確認
5)上記資料をブラッシュアップ
1月20日 提出(建築棟製図室) なし
1月22日 講評会(建築棟製図室) なし
2月8日 成果発表会(須坂市) なし

注意1
年明けから模型制作に取り組めるよう、スケジュール管理に注意しましょう。

注意2
初期スケッチを含め、最終形態に至るまでのプロセスを、アナログ資料とデジタルデータの両方を活用して表現しましょう。

家具の分類

現代社会において、多くの人は、生活時間の約3分の1を椅子に座り、約3分の1をベッドに横たわって過ごしています。

また、居住空間の平面および容積に占める家具の割合は、相対的に増加してきています。

以下の具体例に挙げられるものを総称して「家具」としていますが、すべてを同じものとして扱ってよいのでしょうか。
家具を区分し、それぞれについて考えを深める必要があります。

分類 機能の内容 具体的な例 関わり方
人体系家具 身体の支持 椅子、ベッド 人間中心
準人体系家具 天板上での作業 机、テーブル、カウンター 人間とモノの中間
建物系家具 収納や遮断 戸棚、タンス、衝立、間仕切り モノ中心

戦後、日本の生活様式は急激に洋風へと転換しました。
「和洋折衷」という言葉があるように、日本の住環境や家具のあり方は、現在も混在・混乱した状態にあると考えられます。

住宅事情

日本

  • 自分で住宅を建てて住むという意識が強い
  • 住宅の建設を「一生に一度」と考える傾向がある
  • 売却を前提としないため、個人の要望を優先した住宅になりやすい
  • 生活に合わなくなると、ローンが残っていても解体して建て替える場合がある
  • 維持管理を怠りやすい
  • 他者が住み継ぐことを前提とした間取りになっていない
  • 中古住宅市場が成立しにくい

アメリカ

  • 完成済みの住宅を購入し、住み替える意識が強い
  • 将来の売却を前提として、住宅を継続的に手入れする
  • インテリアを整え、住宅の価値を維持する
  • 中古住宅市場が成立しており、住宅が売却可能な資産として扱われる
  • 保守管理やインテリアへの関心が比較的高い

中古住宅市場

  • 日本の中古住宅流通戸数:約16万戸
  • アメリカの中古住宅流通戸数:約438万戸
  • 日本はアメリカの約28分の1
  • 人口比はおよそ1対3

住宅の平均寿命

  • 日本:約26年
  • アメリカ:約44年
  • イギリス:約75年

日本では、自分の好みに合わせて住宅を建てる傾向が強いため、街並みに統一感が生まれにくく、景観が調和しにくい場合があります。

2009年には「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されましたが、住宅の意匠や街並みとの調和に関する明確な指標は、十分に示されていません。


単位と寸法

尺貫法

単位 寸法
1寸 約3.03cm
1尺 約30.3cm(10寸)
1間 約1.818m(6尺)
1畳 約1.65㎡(1間×0.5間)
1坪 約3.3㎡(1間×1間)

ヤード・ポンド法

単位 寸法
1インチ 約2.54cm
1フィート 約30.5cm(12インチ)・約1尺

寸法の種別

参考:寸法の種別

人体寸法

人体各部の寸法を指します。

部位 寸法の目安 関係する計画
眼高 約150cm 立位の視空間
肩峰高 約130cm 手を前方へ伸ばした際の高さ、スイッチ類
重心高 約90cm へその高さ、ドアノブ、手すり
前方腕長 約75cm 収納棚、キッチンなどの奥行き
下腿高 約40cm 椅子の座面高

動作寸法

人間の身体や手足の動作にともなう寸法です。

物品寸法

家具や各種機器など、人工物の寸法です。

世代や運動能力など、利用者の特性に応じた寸法設定が必要です。

動作空間と単位空間

動作空間

  • 人間の多様な動作に必要とされる空間
  • 動作に加えて、余剰やゆとりが必要
  • 単独利用か複数人利用かなど、場面に応じた計画が重要
  • パーソナルスペース、テリトリー、プライバシーなどを考慮する

単位空間

  • 特定の行為が行われる空間
  • 動作空間に基づいて寸法や構成を判断する
  • 玄関、廊下、居間、寝室、便所、浴室などの移動イメージを考慮する
  • 単位空間を全体平面へ配置する
  • 全体平面から単位空間を見直す
  • この手続きを繰り返して計画を調整する

建築計画の進め方

コーディネーション

  • 建物全体および各部分の寸法を把握する
  • 必要に応じて実測する
  • 配布された図面を十分に確認する
  • 必要とされる動作空間や単位空間を把握する
  • 各自のテーマに基づいて必要な空間を整理する
  • 建物全体にグリッドを設定する
  • 柱や壁などの位置を決定する
  • 平面計画では直交を基本とする

グルーピング

性質や機能が似ている諸室をまとめます。

ゾーニング

敷地や建築物の中に、同様の性質や用途をもつゾーンを設定します。

動線計画

建築空間における人やモノの動き、流れを計画します。

  • 異なる種類の動線は、できるだけ交錯させない
  • 人間は、分かりやすく短い経路を好む
  • 災害時の避難を考慮し、二方向の動線を確保する

ライフサイクルコスト

  • イニシャルコスト
  • ランニングコスト
  • 将来的な資産価値

これらを総合的に考慮します。

ファシリティマネジメント

建物や設備などの長期的な維持管理に配慮します。


住宅の平面計画と配置計画の原則

主に必要とされる諸室

今回の課題を考慮した一例です。

個人的生活空間

  • 高齢者夫婦の寝室
  • 親夫婦の寝室
  • 子どもの寝室

共同的生活空間

  • リビング
  • ダイニング
  • キッチン
  • 玄関
  • 廊下
  • 階段
  • 収納
  • 客間

衛生空間

  • 便所
  • 浴室
  • 洗面所

これらの空間を、住み手の生活条件に合わせて組み合わせ、調整してください。

組み合わせる際には、動線やプライバシーなどを意識してください。

3つの分離

食寝分離

食事の場と寝室を分けます。

就寝分離

両親と子ども、または子ども同士の寝室を分けます。

公私分離

個人的生活空間、共同的生活空間、衛生空間を分けます。

外部空間との関係

  • 隣地からのプライバシーの確保
  • 諸室の採光や通風
  • 駐車・駐輪スペース
  • パブリックな空間とプライベートな空間の関係
  • 移動や滞留によって変化する環境

デザインについて

「デザイン」と言われて、何をイメージしますか

「空間をデザインする」「これは良いデザインだ」と言うとき、何を意味しているのでしょうか。

一般的には、「視覚的な見た目」を意味している場合が多くあります。

デザインが関わる感覚は視覚だけでしょうか

「デザイナーズマンション」と聞くと、「使い勝手の良さ」よりも「見た目の良さ」を期待する人が多いかもしれません。

公共空間、建築空間、パソコンのOS、スマートフォンから利用するSNSなどにおいて、デザイナーがスタイリッシュに見せようとした結果、利用者が不便を感じたり、トラブルが生じたりする事例は少なくありません。

看板や貼り紙による注意喚起を追加しなければならない状態は、デザインによる解決が不十分だった結果とも考えられます。

デザインとは何か

  • 新たな環境を自らつくること
  • 環境を変えること
  • 設計すること
  • 計画すること
  • 仕組みをつくること
  • より良い状態をつくること
  • 快適さや喜びを生み出すこと
  • 自分自身のために考えること
  • 他者のために考えること
  • 多様な動物や植物を含む環境について考えること

芸術家とデザイナーは、必ずしも同じ存在ではありません。

「デザイン=見た目」という認識

「デザイン=見た目」という認識は、特定の分野や地域に限られたものではありません。

D.A.ノーマンをはじめとする認知科学者の指摘を通じて、この認識は緩やかに変化してきました。

D.A.ノーマンの主な著作

  • 『誰のためのデザイン?』
  • 『エモーショナル・デザイン』
  • 『複雑さと共に暮らす』
  • 『未来のモノのデザイン』

国土のグランドデザイン

  • 大きな目的を達成するための仕組み
  • システムの構想に関する企画や設計

UX(User Experience)デザイン

見た目だけではなく、利用者の体験に焦点を当てたデザインです。

近年では、複数の感覚を意識したデザインも見られるようになっています。

モノのデザインを考えるための視点

  • 形状
  • 機能
  • 素材
  • つくり方
  • 製造方法
  • 使い方
  • 手がかり
  • 持続性
  • 柔軟性
  • 公共性
  • 地域性
  • 歴史的・文化的背景

良いデザインとは

  • 役に立つか
  • 使いやすいか
  • 好ましいか

デザインしたモノを通じて、実世界における価値や課題に応える必要があります。

モノをデザインする

モノをデザインする目的には、次のようなものがあります。

  • 個人の欲求を満たす
  • 自分や地域のためにつくる
  • 大量に生産する
  • 効率よくつくる
  • 販売し、生活を豊かにする
  • モノ自体の魅力、価値、機能を高める
  • 商品としての価値を高める

世の中が求めるデザインは変化し続けます。

  • 人間がモノに合わせるデザイン
  • 人間中心のデザイン
  • 持続可能な社会のためのデザイン

こうした変化を意識しながら、自分なりのビジョンをもってデザインしてください。

デザインの手続き

調べる

  • 情報を集める
  • 情報を整理する
  • 情報を分析する

観る

  • 複数の視点を確保する
  • 気づいたことを書き留める
  • 注意深く観察する
  • 観察したものを描く

環境を見る

  • 人通りは多いか
  • 利用時間はいつか
  • 周辺にどのような施設があるか

人間を見る

  • 来訪者か
  • 居住者か
  • どのような世代か
  • どのような身体特性をもつか

インタラクションを見る

  • 休憩するか
  • 売買するか
  • 通過するか
  • 滞留するか

デザインプロセス

  1. 課題を見つける
  2. 仮説を立てる
  3. 検証する
  4. 必要に応じて繰り返す
  5. コンセプトを作成する
  6. デザインする

前半課題では「調べる」作業を行っています。
後半課題では、複数の視点を確保しながら「観る」ことから始めてください。


参考図書など


資料